バンライフで日本一周をする大学生クリエイター集団「VAN TRIGGER(バントリガー)」さんの連載企画。今回は前回購入したボンゴをバンライフ仕様にDIYする様子をお伝えいただきます。
記事中画像提供:VAN TRIGGER
ボンゴを車中泊仕様にDIY
ボンゴを購入し、ついにキャンピング仕様のバンへとDIYを行なっていく。
僕らが意識したのはワーケーションだ。
ワーケーションとは、「ワーク(労働)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた言葉で、観光地など自分の好きな場所でリモートワークをしながら、休暇をするというライフスタイルのことである。
なので、僕らは車の中でも快適にリモートワークが行えるように作業スペースを完備できるようにした。
また一つのバンで3人が生活するため、スペースを取りつつ、収納や調理ができるようなスペースを取ることを意識した。
作業を開始し始めたのはバンを納車した次の日、2020年8月3日から9月5日。約1ヶ月ほぼ毎日6時間から12時間の時間をかけてDIYした。
天井と側面を断熱する

まず取り掛かったのが、天井と側面の断熱材入れだ。
断熱材とは、熱移動と熱伝達を減少させるもので、簡単に言えば、外側の温度と内側の温度のやりとりを遮るもの。
例えば夏の場合、家の中で冷房を使用し25℃で外は気温35℃。この場合断熱材がなければ、家の中の冷たい空気は外へ逃げ、外の暑い空気が中へ浸透してしまう。
つまり保温を支えてくれるのが断熱材である。
断熱材が無ければ、夏は灼熱、冬は極寒になってしまうので、バンライフをするならかなり重要となる。
僕らが使用した断熱材は次の2種類だ。
スタイロフォームはボード状になっており、アクリアはわた状のものである。
天井は貼り付けるためボード状にものにし、側面は詰めるような形だったのでわた状のものを選んだ。
天井の断熱作業
まずは天井パネルを外す。

マイナスドライバーで天井パネルの留め具を全て外していく。

留め具を外すと天井パネルが一気に外れるので怪我しないように注意が必要だ。

外すと鉄板が出てくるので、熱反射のためにアルミテープを貼る。アルミテープは天井に満遍なく張るのが理想的だが、テープ不足で一部分だけ張ることにした。

スタイロフォームを天井の形に合わせて、カッターナイフで切る。

スタイロフォームを貼り付けつために、両面テープを貼る。スタイロフォームは軽いので両面テープで貼り付ければ大丈夫だ。

両面テープを貼り終わったら、天井に合わせてカットしておいたスタイロフォームを貼り付ける。

今回は天井の側面にスタイロフォームを貼るのを省いたが、理想的には天井側面にもスタイロフォームを貼った方が断熱効果は高くなる。もちろんアクリアを詰めても良いだろう。

スタイロフォームを貼り付け終わったら、留め具で天井パネルをはめ直せば天井の断熱作業は完了だ。
次に側面の断熱作業に取り掛かる。
側面の断熱作業
まずは、側面のパネルを取り外す。

パネルはビスで留まっているのが、比較的簡単に外す事ができる。

無理に外そうとすると側面パネルが破れるので注意が必要だ。側面パネルは意外ともろいようだ。

車体フレームとボディの空きスペースに断熱材のアクリアを詰めて行く。

棒などを使って、隙間ができないようにきっちりと詰めていく。

アククリアを詰めたら、側面パネルを元に戻せば側面の断熱作業は完了だ。
断熱材を入れる作業は比較的簡単な作業であるが効果は抜群なので、車内泊を快適に過ごしたいなら必ずやるべきだ。
天井と側面の断熱に必要なアイテム
スタイロフォーム
アクリア
アルミテープ
両面テープ
カッターナイフ
窓を発砲ウレタンで断熱する

後部貨物室の右側の窓にも断熱材を入れていく。(左側の窓は作業机を設置するので断熱材を張らない事にした)
窓の断熱に使う物は先程も出てきたスタイロフォームと発泡ウレタンだ。
発砲ウレタンとは発泡させて作った断熱材のことで、軟質と硬質ウレタンがある。今回は、固まればかなり硬くなる硬質ウレタンを使った。
そして窓の外から発泡ウレタンやスタイロフォームが見えないように、黒いプラスチックダンボールも使う。
まず取り掛かるのはスタイロフォームとプラスチックダンボールを窓の形に型取りする作業だ。
そのあと、型取りをしたスタイロフォームとプラスチックダンボールを窓にはめ、ここから発泡ウレタンを窓の隙間に着けていく。

窓の大きさを計測する。

まずはプラスチック段ボールを窓の大きさに加工する。

できるだけ隙間が空かないようにするのがコツだ。

次に、先ほど型取ったプラスチック段ボールを利用して、スタイロフォームも同じ大きさに加工する。

ガラス窓に発泡ウレタンが付かないように、プラスチック段ボールの上から養生をしておく。

プラスチック段ボールの上にスタイロフォームを重ねて、窓枠との間に発泡ウレタンを注入していく。

発泡ウレタンがモコモコと窓枠からはみ出てしまうが、気にせずしっかりと注入していく。
発泡ウレタンは始めガムのような感じでネバネバとしているが1時間も経てば、発泡スチロールのような形になる。

発泡ウレタンはふくらんでくるので、必ず乾す時は何かで押し付けるようにするのがコツだ。
僕らは乾くまで押し付けられるように、農具で固定した。

発泡ウレタンが乾いたら、盛り上がった部分をカッターナイフで平らに削っていく。

平らに削り終えれば窓の断熱は完了だ。
次の作業では、この上から板を張ってオシャレな雰囲気に改装していく。
窓の断熱に必要なアイテム
プラスチック段ボール
発泡ウレタン
天井と側面を板張りにする

次は天井と側面の板張りに取り掛かった。
板張りにはそこまでの機能性は無いが、車内がオシャレな感じになる。
「これをしなきゃバンライフでは無い!」と言われるほど、バンライフ感が出て一気にオシャレに生まれ変わる。
前回までは工具は使わなかったが、今回からはインパクトドライバーやピアスネジ、オイルなどを使用するので、急にDIY感が出てきた。
主となる材料はツーバイフォー(2×4)材。
ツーバイフォー材は高さ2インチ(3.8cm)、横幅4インチ(8.9cm)の板材のことで、これを約30本くらい使用した。
運が良かったのは、ボンゴはそこまで全長が長くなく、ツーバイフォー材の長さとちょうど合っていて、カットする必要はほぼなかったことだ。
では作業に入っていく。
天井に板張りをする
まず行ったのが、ツーバイフォー材をワトコオイル(WATOCO)でコーティングする作業だ。

ワトコオイルは材料の良さを出してくれるニスで初心者にも使いやすいオイルニスである。

一枚一枚、ハケで丁寧に塗る。
ちなみにワトコオイルは12時間の乾燥時間が必要と記載されているが、そこまでべったりと塗らなければ乾燥時間は1〜2時間で問題無かった。
ツーバイフォー材のオイルニスが乾燥する間に、板を打ち込む場所に印を付ける作業を行う。

幅が4センチなので、4センチごとにマジックで印を書く。
それが終わったら実際にオイルニスが乾燥したツーバイフォー材を打ち付けていく。
ポイントは2つある。

必ず天井の真ん中から打ち込むことである。
印をつけたからと言って、カーブの部分などは食い込んだりしてズレていくので、真ん中から外へ打ち込むようにする。
もう一つは、鉄板のフレームに打つことである。
どういうことかと言うと、フレームではないところに打つと天井を貫通してボディに穴が開いてしまうからである。

鉄板にネジを打ち込む時はピアスビスと言われる、鉄に打ち込めるネジを使う。
ピアスビスを打ち込む作業には、「インパクトドライバー」を使用する。インパクトドライバーは電動のネジ回し機のことで、今回の作業には必須のアイテムだ。
安い物もあるがパワー不足であったりするので、良い物を使いたいが、良い物だと2万円はするので、レンタルするという手も考えたい所だ。

真ん中から側面に広がるようにどんどん打ち込んで行き、段々完成に近づいてきた。
だが、カーブの部分に入ると打ち込み箇所がなく一苦労だ。
天井の平たい部分は3.5センチのピアスビスでも打ち込めたが、カーブ部分は6センチのピアスビスでないと入らないので、一度作業をストップし買い物へ。
買ってきた6センチのピアスビスを打ち込むが、かなり押し込まないと入らないのでかなりきつかった。
なんとか全ての打ち込み作業を完了し、天井は完成した。
天井の打ち込みだけでなんと12時間。昼間は35℃くらいの灼熱の中での作業であり、天井は腕もかなりきつく、本当に辛い作業であった。
バンの外へ出て中を覗くと…

絶景!
こんなにも綺麗でオシャレな車内を見たことなかったし、前日までの殺風景な車内とは大違いだ。達成感がすごい。
数日後、側面部分の作業へ移った。
側面に板張りをする
今回はバンライフの先輩である「VanBoys」の2人が来てくれ、手伝ってもらった。

「VanBoys」とは「問題をクリエイティブにデザインし、わくわくする世界を作ろう。」をテーマにバンライフしているグループである。すごくDIYが得意なので助かった。
天井部分と違うのはツーバイフォー材の端を車の曲線に沿ってカットしていく必要があることだ。
一枚一枚曲線が違うので少し大変だがすごく綺麗に収める事ができる。

まずは下準備として、断熱した窓の上にベニア板を貼っていく。

車体側面は湾曲しているので、ベニア板を2枚に分けて貼り付けていく。

次に、ベニア板の上からボディ形状に切り出したツーバイフォー材を貼り付けていく。
そのまま下まで行くと、タイヤの収納箇所が出てくる。ここは色んなバンライファーが苦戦するところだ。
僕らはこの部分にソファーベッドを置いて見えないので、綺麗に作らなくても大丈夫だったが、細部にこだわるのがVAN TRIGGERだ。

余っていたスタイロフォームを利用してタイヤ部部の型取りをする。

型取りしたツーバイフォー材を曲面加工する。電動糸ノコギリがあればカーブ状の切断は簡単だが、無い場合は、ノコギリで曲面まで切り込みを入れてからノミで削っていく方法を使う。

ノミで荒削りした部分にヤスリをかければ、綺麗なカーブを切り出す事ができる。

タイヤに沿ってカットできたら、ピアスビスで打ち込めばタイヤ部分の完成だ。

側面部分は、天井部分と違ってオイルニスが垂れる心配が無いので、板張りをした後にワトコオイルを塗っていく。
一気にバンライフ感が増しおしゃれになった!
板張りは2人で作業しても大変だが、こんなにもオシャレになるので是非チャレンジを。
板張り作業に必要なアイテム
ツーバイフォー材(2×4)
ベニア板
ワトコオイル
ハケ
インパクトドライバー
ピアスビス(長さ35mmと60mm)
ノミ
ノコギリ
伸縮可能なソファーベッドの制作

次に取り掛かったのはソファーベッドだ。
バンライファーでも珍しいソファーベッド。一般的には、伸縮しないベッドが多いようだ。
僕らは車内でデスクワークをしたいので、運転席裏と左側面にテーブルを付けることで椅子としても利用できるソファーベッドの形にした。
ボンゴは大型なキャンピングカーと違い、ベッドと椅子を別々に置けるスペースがほぼ無いので、ソファーベッドはスペースをうまく活用できるメリットがある。
まず、ソファーベッドの土台となるフレームを作る。

フレームは可動するコの字のフレームと可動しないL字のフレームを考える。

フレームの角をL字金具で固定する。


耐荷重を上げるため支柱をつけ、コーススレッド(木工用ビス)でしっかり固定する。
その後、寝るところとなる平面部分を制作する。
コの字とL字のフレームを合わせ、ツーバイフォー材をコの字とL字に等間隔に並べて釘で打つ。
こうすると、一応可動式のソファーベッドができる。
だが、これだと開いたり閉めたりする時に、平面部分の板一枚一枚の高さがバラバラとなり、突っかかりスムーズに行えない。
そこで出てくるのが、イレクターパイプだ。

可動するL字の平面部分の先にイレクターパイプを取り付けると、平面部分の板、一枚一枚の高さが均等になりスムーズに開け閉めできるようになる。
これは可動式ソファーベッドを作るならば必ずやって欲しい作業だ。
これで可動式ソファーベッドが完成した。
可動式ソファーベッドのいい点はたくさんある。
まずソファーベッドと名前の通り、その時の用途によって形態を変えることができる。

椅子として利用する際は、短くして作業スペースを確保できる。

ベットとして使うときは伸ばせば良い。僕らは3人で旅をするので、2人はこの上で寝ることが可能だ。

残りのもう1人はベットの下で寝ることができる。
そしてソファーベッドの下の部分には大きな収納スペースを確保することができる。

椅子であり、ベッドであり、収納にもなるので革新的だ!
バンライフでベッドまたは椅子をどうしようか悩んでる人は是非この形を試してみると良いかもしれない。
作業を終える頃にはすっかりと辺りが暗くなっていた。
ソファーベッドの制作に必要なアイテム
L字金具(アングル)
コーススレッド(木工用ビス)
イレクターパイプ
後方テーブルとポータブル電源置き場の制作

次は僕らの暮らしの重要な場所であるワーケーションスペースを作るため、ソファーベッドの横にテーブルを作ることにした。
テーブルは開いたり、閉じたりできるようにして、使わない時のスペースを無駄に取らないように設計する。
そして、バンライフ一番の生命線であるポータブル電源の置き場も作る。
まずはポータブル電源の置き場を制作する。

このバンライフで利用するポータブル電源は「BLUETTI EB240」だ。電力容量は2400Whもあるので、ワーケーションをするにはぴったりのポータブル電源だ。
車体後方はタイヤの部分が大きく出っ張っていて、うまく隠さないとかなりダサい。
しかしこの出っ張りとポータブル電源の横幅と長さがほぼ一緒だったので、ここにポータブル電源を置くことにした。

タイヤを囲うように、板をL字に組み立てれば完成だ。木材を使ったDIYにはかなり慣れてきた。

このままだと走行中の揺れでポータブル電源が倒れる可能性があるので、ラチェット式ベルトで固定する。
次にテーブルを作っていく。
